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歌舞伎座 十月大歌舞伎『義経千本桜』

チケットをとっていただいて、連休中に再び歌舞伎へ。歌舞伎座さよなら公演、芸術祭十月大歌舞伎、夜の部、通し狂言『義経千本桜』です(長い(笑))。

Kabukiza1 東銀座の歌舞伎座は、建て替えまであと200日ほど。入れ替え待ちの時間に、記念写真を撮る人でごったがえしていました。

今年の初めに行った山下達郎さんのライブで、達郎さんが大阪フェスティバルホールの建て替えに触れていたのを思い出しながら、観劇。

「多くの人が立ったコンサートホールには、その人たちの汗や、思いや、気、その全てがホールにしみついて、ホールの魂となっている。それを簡単に壊すなんて、あってはならないことだ」。

明かりを透かして少しすすけたように見える天井や、役者や黒子のすり足で白い地肌の見える舞台の古い板、ちょっとでこぼこして光沢のある手すりなどを見ながら、つくづく達郎さんの言葉を噛み締めて共感しました。建て直しの際に、使える建材は使うと聞いていますが、外側だけでなく、なるべく多くのものを生かして建て直して欲しいものです。

Photoさて、『義経千本桜』、場面は「渡海屋・大物浦」「吉野山」「川連法眼館」でしたが、吉野山が浄瑠璃が多くてちょっとわかりにくかった他は、全体的にはとてもわかりやすく、歌舞伎の良さを満喫できる内容でした。

今回の席は花道正面のニ階一列目で、全体を見るにはこれ以上ない席。花道に立つ知盛の吉右衛門さんや、忠信の菊五郎さんの目線をまともに受け止めて、しびれました。以下、点描的に、感じたままを。

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・「渡海屋・大物浦」。安徳天皇役は二人の子役の交代出演だったそうですが、私が見た回は高橋飛和(ひより)君でした。この年齢の子の演技としてすごいと思ったのは、「した」演技ではなく、「しない」演技。寝かされていた時は、人形が置いてあるのかと思うほど、まったく身じろぎもせず。玉三郎さんの乳母に抱かれている時も、すっと背筋をのばして「絵」の一部になり、余分なことは一切しない。せりふは一音節ずつ、はっきりと発音。本当に恐れ入りました。伝統芸能の、家柄だか血筋だかの凄みみたいなものを感じてしまいました。(追記:どうやらこれは誤解で、高橋君は梨園の出ではないようです。あまりに落ち着いていたので勘違い。失礼しました。)

・「渡海屋・大物浦」での義経役の五代目中村富十郎さんは、私の父より年上。義経を演じるには、あまりに落ち着きすぎなのでは・・・。もとより、歴史上の人物の名を借りたフィクションなので、それでいいのでしょうけれど。でも義経って亡くなったのさえ30前後だよね??このお方は、たたずまいは素晴らしいのだけど、義経ではないよね??と思ってしまいました。「粋も芸も解さないイチゲンさんは、黙っとき!」 はい、すみません。

・その義経の家臣役は、「おお、歌舞伎ジャニーズジュニア!?」というイケメンな四人でした。若いとお化粧のノリがいいのは、男性も同じ。美しいわ。二階だったので文字通り「上から目線」で、しっかり注目。種太郎さん、尾上右近さん、隼人さん、巳之助さん。定位置の時はたぶんその順番で向かって右(上手側)から並んでいらしたと思います。

声は隼人さんが一番いいなあー。とか、巳之助さん、右近さんは動きがきれいだなー。とか、それぞれ良さがあったのですが、最終的に一番好きだと思ったのは中村種太郎さん。碇知盛の見せ場の場面で、この有望若手四人は、長時間ずっと舞台下手の岩の下にしゃがんでいるだけなのですが、その間も種太郎さんはずっと知盛を鋭く睨んでいて、すきがない。演技に入り込む集中力を感じたんです。あの眼よかったなあー。もっともっと大きい役で見てみたい(こうやって、歌舞伎に嵌っていく人もいるんだろうなあ)。

・今回、特にはっとしたのは「渡海屋・大物浦」」「川連法眼館」の両方の浄瑠璃でした。竹本葵太夫さんという方の名前が両方にあるので、たぶん葵太夫さんだと思います。もちろん、どの方も素晴らしいプロの声をお持ちなのですが、声の「演技力」というか「説得力」というか「物語る力」「物語に引きずり込む力」がすごくて、時々はっとさせられたんです。それはトーンだったり、裏声とか緩急とかだったり・・・ドシロートなので、そのよさを語る言葉は持ちませんが(そもそも、それが良さなのかどうかさえわかりませんが)、まさにクラプトンのコンサートで何も知らずにデレク・トラックスのスライドギターを聴いてしまった時と同じ、心地よい衝撃でした(って、デレクを聞く人と歌舞伎ファンは重なってないだろうから、意味不明の説明だろうなあ)。

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点描的にちょっと書こう。と思ったら、いつもどおり長くなってしまいました(苦笑)。主役級の人についてはほどんど何も書いていないのに。

歌舞伎は面白いですね。観劇中、心の中のシャッターで何枚も舞台の写真を撮っていました。そして、どの一瞬に「シャッター」を切っても、「人物のアップ」では連続写真のどれもが日本人形のポーズになって「きまって」いたり、「望遠」では一枚の完成度の高い絵になっていることに改めて驚かされました。

奥が深い、興味の尽きない世界。それを本気で探訪する余裕がまだないのが残念です(余裕って何かな。時間・・・お金・・・は言い訳で、たぶん気持に余裕がないんだろうな)。

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