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『カラマーゾフの兄弟』、そして『蜘蛛の糸』

この夏読んだ一番長い本が、ママ友に借りた、光文社の新訳『カラマーゾフの兄弟』でした。

「あれ読んだ?」

「え~目にはしたけど、本屋さんで5巻並んでるの見ると『ん・・・今はこれ読まなくていいな、内容重いし、暇ないし』って思っちゃって。」

「ねえ、でもね、あの新訳だとラクに読めちゃうのよ~、しかも面白いの!貸してあげるよ~。返すのは秋でいいよ~(笑)」

そこまで言われたら、お借りしなくちゃ。というわけで、読みました。

読んでみたら、亀山郁夫さんの訳は本当に読みやすく、解説も丁寧で、ストーリーを十分に楽しめました。

特にミーチャが主に活躍する3巻の展開は、個性的な登場人物の描写といい、スピード感といい、アンバランスな緊迫感といい、それが生み出すユーモア、伏線の張り方などといい「伊坂幸太郎さんも真っ青だなあ」というくらいに引き込まれました。

天下のドストエフスキーに対して「伊坂さんも真っ青」というのは、かなりズレた賛辞ですが、特に「人を殺したらしく、自殺も考えているらしいのに妙に明るくのんきなミーチャ」と「ミーチャに乱入され、話を聞いているうちに心配でたまらなくなって慌てているペルホーチン」の掛け合いなんて本当に絶妙でした。

といっても、この物語はストーリーを追うだけでは読みが半分以下で・・・。ドストエフスキーの書きたかったことは登場人物の会話の宗教論・社会論・の主張などにあると思いますが、そういう部分に関しては「翻訳はわかりやすいけど、内容が十分読み取れない」ことに変わりはありませんでした(つまり、内容が難しいことに変わりはありませんでした)。

さて、表題の説明です。『カラマーゾフの兄弟』の中には挿入的に「ロシアの話」として、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』そっくりなエピソードが出てくるんです(このことについても、亀山さんは解説で丁寧に説明されています)。

内容は・・・生きている間、何もいいことをしなかった女だが、困っている人にネギをあげたことがあった。それで、死んで地獄に落ちた時、天使(か神様)が、ネギを降ろしてやった。女はそれにつかまって天国に入ろうとするが、みんな上ってきて・・・というもの。

今まで、芥川龍之介の話のプロットは、全て『宇治拾遺物語』か何かから取ってきているのだと思っていました。ちょっとビックリしまし.た。

新訳の5巻、借りて読んでしまいましたが、これは買おうかな(でも、買うと案外読み直さないかもー)と思案中です。

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コメント

おはようございます。

面白い情報でしたので、ネットで調べてみました。
一本の葱というロシアの民話がどうもあるようで、ドストエフスキーはそれを引用したようです。

一方、「蜘蛛の糸」は、インドの仏教で説話(?)を集めた「カルマ」という本の中の話が基になっているようですよ。

で、ロシアの民話というのも、インドの仏教の説話が伝わったものという説があるようで、どちらもルーツは同じようですね。

「罪と罰」は読んだんですけど、「カラマーゾフ~」はまだなんです。
新訳が出て、読みやすいという噂を聞いたので、読みたい!とはずっと思っているんですけどねえ。

投稿: Husky | 2008年8月30日 (土) 08時37分

レス遅れてすみません。
さすが、研究熱心なHuskyさんsun

「新訳」と言っても、すべてが「旧訳」よりいいわけじゃないと思いますが、亀山郁夫さんの訳は本当に読みやすいです。
 その上、解説が本当にものすごく丁寧で、時系列などもわかりやすくなっているので、この文庫はお勧めです。

投稿: ぼくてき | 2008年9月 1日 (月) 22時55分

こんにちは、お邪魔します。
『カラマーゾフの兄弟』は新潮文庫の旧訳で読破しました。亀山さんの翻訳、読みやすいんですね。新訳でも内容の難しい部分はそのままなんでしょうけれど、作品の本質ならそれをいかに落とさずに伝えるか、という部分もあるので、評判がよく気になっています。
ただ……あれを新訳で読むとなると一週間くらいはかかりきりになりそうなんですよね。手元の未読本がなくなるまで、お預けにしようかと思ってます(苦笑)。

投稿: yumemi | 2008年9月 1日 (月) 23時55分

yumemiさん、こんにちは。
そう「今は忙しいし、ちょっと。」と思っちゃうタイプの本ですよね。(当時の)ロシア社会や、ロシア人気質、加えて(ロシアでの)キリスト教がよくわからないと、三兄弟の問題意識が本当はちゃんと読み取れないのかなと思います。でも、そういう部分がしっかり読めなくても、面白さで読ませてしまう筆者と訳者の力量はさすがです。
 ドストエフスキーがもっと長生きされていたら、どんなアリョーシャの物語(続き)を書いたのでしょうね。

投稿: ぼくてき | 2008年9月 3日 (水) 01時41分

ぼくてきさん、こんにちは!お元気ですか?
ようやく多少は暑さも落ち着いてきて、本が読みやすいシーズンになってきました。
亀山さんといえば、今度は『罪と罰』の新訳をされたんですね。これも興味があるけれど、新潮文庫版で読破しているので、どうしようかなと思ってます。
名作系でいうと、先日『月と六ペンス』を初めて読みました(作家の垣根さんがよく取り上げていらしたので)。大学時代に名作系は意識的に読んだつもりでしたが、まだまだ知らない本はいっぱいありますね……。またお邪魔します♪

投稿: yumemi | 2008年9月24日 (水) 23時09分

はい!ご無沙汰していてすみません。更新もサボってますが、元気です。
・・・が、元気すぎて?テニスで肉離れをやってしまいました(´・ω・`)何をするにも(移動に)時間がかかって困っています(^^ゞ
亀山さん『罪と罰』の新訳も出されたんですか。最後に読んだのは20代だと思うので、また読んでみたいです。これは買おうと思います。ありがとうございます。
『月と六ペンス』は、19世紀末の絵画が好きな友人に薦められて大学の時読みました。『雨・赤毛』という短編集の文庫も、とても面白かった記憶があります。また読んでみようかな。
最近ちょっと小説から離れていて、最近読んだのは『ダルフールの通訳』『日本だけが知らないアメリカ「世界支配」の終わり』(前者はスーダン人によるルポで、お勧めです。後者はオランダのジャーナリストの分析レポートで、私はまだ消化不良中)・・・それから『20世紀少年』と『monster』の原作くらいです(この二つは漫画。かなり面白いです)。
取り上げて書くと長いブログになってしまいそうなので、自分が恐くてアップできずにいます(言い訳^^;)。

投稿: ぼくてき | 2008年9月26日 (金) 00時10分

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