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田口ランディさんの『ソウルズ』。

田口ランディさんの短編集『ソウルズ』。
この人の本は初めて読みました。

触れ合い、時に本当に理解し合ったり、お互いに意味のある存在である瞬間を持ちながら、基本的には孤独な魂の物語。

作者自身のあとがきの文章も、それ自体が珠玉のエッセイ。人との関係で感じるせつなさについて、この作者は、ほとんど同じ思いをちゃんと文にしてくれている・・・と感動しました。

そのあとがきの中に「十代の頃から悩んできたこと。疑問。それはいまも私の宿題。」とありました。

そういえば、十代の終わり頃に繰り返し読んでいた本の一つが、福永武彦の『愛の試み』でした。テーマは同じ。福永さんの本はエッセイ(というより読みやすい哲学書みたいだったかも)と短編小説を組み合わせたものです。男性的な冷徹さで自分の孤独を切り裂いて、血を流しながら書いているような文だと思って読んだものでした。

田口さんの短編は、せつないけど暖かい気持ちになれる話ばかり。
たぶん、田口さんが、孤独な魂でも、お互いに意味のある存在である瞬間があることの大切さをちゃんと書いているからだと思います。短編一つ一つ趣は違いますが、すっと心が軽くなったり癒されたりする話が多いです。

桜の季節。花の見えるところで、友や家族、または亡くなった人への思いを胸にしながら読むのにいい本です。

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コメント

田口さんはひとりであることの大切さと、ひとりであるからこそ、ふとした瞬間にかかわりあうことの貴重さを描く名手ですね。エッセイと小説だと少し感覚は違いますが、ほわっとした温かみに満ちた文章を書かれる方だと思います。

投稿: yumemi | 2007年4月16日 (月) 21時52分

yumemiさん
レスがすごく遅くてごめんなさい!
田口さんは、エッセイも少し読みました。遅咲きの作家さんなのですね。
「被爆のマリア」などもよかったです。

投稿: ぼくてき | 2007年4月22日 (日) 06時18分

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