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田口ランディさんの『ソウルズ』。

田口ランディさんの短編集『ソウルズ』。
この人の本は初めて読みました。

触れ合い、時に本当に理解し合ったり、お互いに意味のある存在である瞬間を持ちながら、基本的には孤独な魂の物語。

作者自身のあとがきの文章も、それ自体が珠玉のエッセイ。人との関係で感じるせつなさについて、この作者は、ほとんど同じ思いをちゃんと文にしてくれている・・・と感動しました。

そのあとがきの中に「十代の頃から悩んできたこと。疑問。それはいまも私の宿題。」とありました。

そういえば、十代の終わり頃に繰り返し読んでいた本の一つが、福永武彦の『愛の試み』でした。テーマは同じ。福永さんの本はエッセイ(というより読みやすい哲学書みたいだったかも)と短編小説を組み合わせたものです。男性的な冷徹さで自分の孤独を切り裂いて、血を流しながら書いているような文だと思って読んだものでした。

田口さんの短編は、せつないけど暖かい気持ちになれる話ばかり。
たぶん、田口さんが、孤独な魂でも、お互いに意味のある存在である瞬間があることの大切さをちゃんと書いているからだと思います。短編一つ一つ趣は違いますが、すっと心が軽くなったり癒されたりする話が多いです。

桜の季節。花の見えるところで、友や家族、または亡くなった人への思いを胸にしながら読むのにいい本です。

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円応寺で知る閻魔大王様のこと、など。

日曜・月曜で、江ノ島&鎌倉へ行ってきました。

江の島の入り口にある、新江ノ島水族館に行ったのは初めて。くらげのコーナーが幻想的でした。イルカのショーもキリモミ回転まで見せてくれて見事。天気の悪い日曜日なのに、すごく混んでいました。
江ノ島そのものにちゃんと行ったのは小学生か中学生の時以来。日帰りでも行けるところなのですけど、いつでも行けると思うと行かないものです。ろうそくを持って入る洞穴など、初めて知りました。
江ノ島は、土産店などの数も多いせいか、全体的に安めです。丘のような形をした島をめぐる遊歩道も整備されていて、天気のよい日にぶらっと歩きまわるには、いい観光地だと思います。

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でも今日メインで書きたいのは江ノ島の話ではなく、
鎌倉のお寺の中でも異彩を放っている円応寺の閻魔様の話。

円応寺へは、鶴岡八幡宮から北鎌倉へ向かう道の途中で寄りました。ご本尊は運慶の作と伝えられる「閻魔大王」です。質素なお堂内に入ると、まず奥に祭られた圧倒的迫力の大王が目に入ります。その周囲を囲むように冥界の王の像が鎮座しています。拝観者は、向かって左の手前から、「十王」を拝見して行くことになります。

珍しいお寺でしょう。

(以下の文体、『蜘蛛の糸』化)。
各冥王が下す裁きについての恐ろしい説明は、ひっそりとたたずむ各冥王の像の前にちゃんと貼ってあるのでございます。拝観者はそれを読みながら、冥界を旅する死者のような趣を味わうことになるのでございましょう。

それにしても皆様、何が嬉しくてそのような趣を味わうのでございましょう(爆)。
なにしろ世の中、何も悪いことをせず生きておりますのは私くらいのものでございますから、普通の・・・「数限りもない罪人」の皆様たちが、ここで恐ろしい思いに囚われることは間違いないのでございます(・・・は??以下、文体戻ります)。

私は無宗教で、死後の世界は「死んだことがないからわからない」という考え。でも、手塚治虫さんの『火の鳥』に繰り返し現れるような、仏教的な世界観や生命の捉え方には心をひかれる時があります。

○○地獄・・・みたいな説明を読み流しつつ、閻魔様に辿りついて説明文を読みました。

詳しくは覚えていませんが、そこには、こんな意味のことが書いてありました。

「罪人を裁き、罰を与えるというのは閻魔大王に課された絶対的な使命である。でも、人に苦痛を与えるというのは本来してはならないこと。ここに閻魔大王の業がある。大王は人に大変な苦しみを与えるという罪を償うため、一日に三度、どろどろに解けた金属を呑み下さなければならず、それは亡者が味わう地獄の苦しみの何倍もの苦しみなのだ。だから、閻魔大王の願いは、人に罪を犯させない(悔い改めさせる?)ことにある。」

閻魔様は、そんな苦しみを自らに課して重責を果たしていらしたのか。

深いと思いませんか。
この視点。

・・・って、常識だったりして(恥)。

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鎌倉では見られなかったソメイヨシノ、都内では一斉に咲きはじめました。
花が咲くころの桜は樹液も桜色をしている・・・なんていう話を思い出しながら、花のある風景を楽しんでいます。

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明日は卒業式

明日は息子の卒業式。
今日は終業式の日。

遅い出勤の日は、パトロールマークをつけて子どもたちの登校時間と同じに家をでています。でも息子は高学年になるにつれてさっさと行ってしまうことが多くなり、最近はずっと私と娘だけで駅と学校へと分かれる交差点まで一緒に行っていました。

今朝、息子に言ってみました。

「ねえ、今日はタロとハナが普通に小学校に行く最後の日だよね。だからお母さん、駅に行く途中まで一緒に行きたいと思うんだけど。」

えー、とか、ちょっとでも嫌な顔をしたらやめようと思ってました。

「・・・うん。別にいいよ。」

通学路を雑談しながら、ゆっくり息子と一緒に歩きました。

入学した頃、病気がちでとても心配だった長男。いろんなケガもあったけど、でも大体元気で、小学校を過ごしてくれた。

六年生のクラスの男の子たちは、優しくてよく遊ぶ子が多くて、公園で十人以上集まって遊んでることも珍しくなかった。
やっと雨のやんだ夕方遊びにでかけ、「大すべり台がすごく滑って、楽しかったんだ!」って、皆でジーンズに穴をあけ、上着を二度と着れないほどドロドロにして目を輝かせて帰って来たのも、まだ去年のこと(笑)。

この人達は「絶滅危惧品種」みたいな小学生だなあ、って呆れながら母は感動していたんだよ。
楽しい小学生時代を送れたよね。みんなに感謝だね。よかったね。勉強もそこそこ頑張ったね。

交差点で手を振って別れた頃には、目の前の風景がゆらゆらしていました。
そのまま駅まで一人ウルウルしながら(マスクして)歩いてました。
・・・たぶん、ひどい花粉症の人に見えただけだったと思うけど(笑)。

自分の卒業式なんて、泣いたことなかった。
子どもの卒園は二回とも泣いてしまったけど。
明日は大丈夫かな(だめだな)。

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最近、4月からPTAを一緒にやるうちのお一人とのやりとりで
ものすごーーーーーく嫌な気持ちになってしまって。
それをひきずって、立ち直りきれない状態。

小さい、小さいよ。私。

こうして、家族に恵まれていること。
職場の人間関係にあり得ないほど恵まれていること。
自分を理解して気にしてくれる人がいること。
一応健康なこと。

自分がどんなに幸せか、わかっていれば大丈夫。
自分にとって大切な人や、大切なことを見失わなければ大丈夫。

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あー、でもこの一年は長そう(笑)。

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ケリー・ハンセンのボーカルでフォリナー。

13日、東京厚生年金会館でフォリナーを聞いてきました。ちょっと降ってわいたような話がありまして(^^;;;;)。
先週のエイジアに続いてフォリナー。産業ロックだかcorporate rockだかつながり、というわけではないんですが(笑)。観客の年代もエイジアとほぼ同じ感じ。後ろの男性二人もエイジアのコンサートに行った話をしていました。

フォリナーのボーカルといえばLou Gramm。そのルー・グラムが抜けて、オリジナルのメンバーはMick Jonesだけ。今回の来日は東京二日間だけにもかかわらず、チケットがだいぶ残っていたようです。そりゃそうですよね。バンドイメージってボーカルの存在が大きいし。

というわけで全然期待してなかったんですが、すごく楽しいライブでした。

とりあえずヴェリー・ベスト・オブ・フォリナーと4だけ聞いて参加。結果的にはそれでだいたいカバーできちゃったくらい、ヒット曲の素直なオンパレード。席は一階の真ん中あたり。黄色い大声援を上げて踊りまくる白人女性らに圧倒されつつ・・・Kelly Hansen のパフォーマンスに乗せられて、ブーツで踊ってて疲れました(笑)。

Double Visionから始まって、一階は最初から総立ち。ちらほらある空席がステージから目立たなくてよかったかも。

今日はメンバーの印象だけアップ。

Mick Jones (G)
唯一のオリジナルメンバー。ギターの他、キーボードも弾くし歌も上手だし。だいぶ出たおなかにギター乗せて弾いてました。フォリナーの曲はこの人とLou Gramm(の共作)が多いんですね。

Jeff Jacobs (Kb)
一番地味キャラ?です。お辞儀を何回もしていてかわいい。

Tom Gimbel (Sax,G)
サックス、フルートは楽しそうに吹いていました。ギターは「悟りギター」!?というか淡々と弾いている印象。なぜなら・・・。

Jeff Pilson (B)
この人が長い金髪を振り乱し、走り回ってベース弾いてるから。ベーシストとギタリストのキャラが逆だ!?ヘビメタのDOKKENのベーシストだったそうです。なるほど、ヘビメタの演奏スタイルかあ~。こういう元気いっぱいの人がステージにいると楽しくて好き。最後には節分の豆まきみたいにピックを大量にまいてました(笑)。

Kelly Hansen (Vo)
MCのほとんどをこなし、客席に下りて会場を盛り上げ、舞台でのパフォーマンスも元気いっぱい。声もかなりルー・グラムに似ています。ルーの方が若干甘い艶みたいなものあるような気がしますが、ほとんど遜色ないと思いました。彼もヘビメタのハリケーンのボーカルだったそうですが、ベースのジェフ・ピルソンとケリー・ハンセンの二人がライブを盛り上げる活力になっていたことは間違いないです。今ルー・グラムが歌える状態だったとしても、あんなにライブを盛り上げられないと思います。ケリーに拍手!空席が本当に残念。

Jason Bonham (Ds)
ボーナム!そうです。亡くなったZeppelinのドラムスJohn Bonhamの息子さんなのです。・・・息子さんって言っても・・・スキンヘッドのおじさん。メンバー紹介されたあと、ZeppelinのRock and Rollをタスタタンタスタ・・・と始めました。おおお!Zeppelinの曲やっちゃうの!?と思わせておいて・・・ジャン!とギターが入ったところで終わらせ、会場を笑わせる一幕も。でもJuke Box Heroの中ではWhole Lotta Loveのサビを入れてくれました(^^)ニクイね~。最後はこの人もステッィクを投げてサービス。

クラプトンのコンサートの時も思ったのですが、バンドのメンバーに(すこしでも)若い人を入れるのは活気がでていいですね。もしオリジナルメンバーでやったとしても、今日の楽しさはなかったんじゃないかな。

そうそう、みんな歌えるメンバーのようで、ハーモニーもきれいでした。

ちょっと音響でオヨヨなところがなくもなかったけど(オヨヨって・・・死語か^^;;;)。でもそれはバンドのせいじゃないし。

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今日もライブ後はきちんと直帰しました(T T)。
私ってホント真面目な模範主婦・・・(*。☆)\バキッ!痛!

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ALL FOUR ORIGINAL MEMBERS OF ASIA! 

10日土曜日、エイジアのオリジナル4人メンバー来日公演に行って来ました。場所はC.C.Lemonホールという名前がついた渋谷公会堂。5時開演。子持ち夫婦には嬉しい時間の公演です。

特にエイジアというバンドに思い入れがあるわけではないのですが、オリジナル4人メンバーが揃う、しかもスティーヴ・ハウのYES、カール・パーマーのELP、ジョン・ウエットンのいたKING CRIMSONの曲もやる・・・というからには行かない手はない(あ、ジェフ・ダウンズのいたTHE BUGGLESの曲も(^^;))。

結果から先に言うと、とっても楽しいライブでした!
単なる付き合い程度の気持ちで来た夫も「いやー、全然期待してなかったけど、スッゲーよかった!」と言ってくれました。

私にとって嬉しかったのは、John Wettonの声がちゃんと出ていたこと。私の目当ての7割はウエットンだったので。外見は太りすぎだけど、あの声は大好きです。欲をいうと、歌が入るところはもうちょっと演奏の音量を下げてほしかった。どこだったか忘れましたがMCの中で「キミタチ・サイコーダヨ!(サイコーがpsychoに聞こえなくもなくて危ないのね^^;)」もちゃんと言ってくれて、U.K.ファンとしてはすごく嬉しかったです。もう一つ欲を言うと、U.K.の曲もやって欲しかった!

意外なほど良かったのはCarl Palmerのドラム。とにかくリズムがすごい!パフォーマンスが楽しい!(←小学校1年生レベルの表現力)特にドラムのソロは圧巻でした。まるで和太鼓を叩いているようなパフォーマンスを混ぜたり、スティック一本シンバルの上で転がしながら、右のステックで操って音を出したり。スティックを落としては、奇術のように次々代わりのステックを出して笑わせたり。視覚的にも楽しいし、技術的にもすごかったです。太りすぎ二名、痩せすぎ一名のメンバーの中、パーマーだけが体育会系のスタイルを保ってたような。

痩せすぎ一名、Steve Howe先生。外見的には、一人でおじいちゃんの域に達してます。点滴をつなげていても違和感ない感じ・・・。ギターソロはホント上手かったです。三本使っていたギターのうち、コバルト・ブルーの一本が、エレキなのにアコーステッィクみたいな音をだしていて、その音がすごく気に入ったのですが詳しいことはわかりません。

Geoff Downes。やっぱりソロはとっても良かったです。バグルスのVideo Kills the Radio Starの時は、銀色の上着にサングラスをかけて登場し、客席を沸かせました。

実は、全体の演奏・歌のバランスとしては時々(より多く?)微妙に(はっきり?)「ばらんばらん感」があったんですよ(^^;;;)。私達のいたのは二階のど真ん中あたりなので、席のせいではないと思いますが・・・。私は何となくジェフ・ダウンズのキーボードが戦犯・・?と思ったのですが、夫に言わせると「いやー、むしろスティーブ・ハウのギターじゃないの?あの人、確かにスッゲー上手いんだけど、なんか、たまにタイミングが遅れてたような気がした。でもなあー。やっぱり彼らの曲は全部難しいよ。あのリズムぴったり合わせるのは、よっぽど一緒に練習しないと。」うーん。でもチョー上手いはずの人たちなんですけど(^^;)

でも、完璧な演奏だけを求めるのならCDを聞けばいいわけで。とにかく楽しかったし、大満足したことは確か!

以下、感想・解説つきの「読みにくい」セットリスト。読みやすいのはネットに溢れてるようなので、敢えて(笑)。
*****

(曲目の「詠」はAsiaの一枚目。「A」は二枚目のAlpha)

5時ぴったりに一ベルが鳴りました(おー、開演時間ぴったり!)。5時5分ごろ、ライトが消えて「威風堂々」が流れます。ライトがステージを舞い、会場が手拍子につつまれる中、曲が「あたしんち」に入るタイミングで(違)スティーブ・ハウを先頭に、メンバー登場!もうそれだけで最初から大興奮!の40代中心の観客層(笑)

1.Time Again (「詠」)
2.Wildest Dreams(「詠」)この曲はU.K.の曲を彷彿とさせるところがあって、Asiaの曲の中では好きな曲の一つ。
3.One Step Closer(「詠」)
4.Roundabout (Yes) タタタタ・・タタ・・ピン・・のっけから感激!これを聞いて「お買い得」感を持ったプログレファンは多かったのでは。Fragileという単語、私はこれが入ってるアルバムタイトルで覚えました。
5.Without You(「詠」)
6.Cutting It Fine(「詠」)

Geoff Downes keyboard Solo

Steve Howe Acoustic Solo いやー。なんていい音出すの。

7.Fanfare For The Common Man (ELP) これも「お買い得」感の一つ(笑)こういう音、リズムを聞いているのはもー文句なく楽しい。昔のELPは外見もイケメンバンドっぽくてよかったよね・・・。

8.The Smile Has Left Your Eyes(「A」)
9.Don't Cry(「A」) 8,9の二曲はアコースティックバージョン。悪くなかったけど、原曲が好きな人にはどうかな。スティーブ・ハウがマンドリンを弾いてました。

10.In The Court Of The Crimson King (King Crimson)  オリジナルはウエットンじゃないんだけど彼の声もこの曲にぴったり。私としてはウエットンがいたころの曲でもよかったけど、やっぱり超有名な曲にしたようで。舞台に赤いライトを使っていました。
11.Here Comes The Feeling(「詠」)
12.Video Killed The Radio Star (Buggles) 曲の最初、ウエットンが拡声器を手に取り、ジェフ・ダウンズが銀色の上着で登場。オリジナルのPVがスクリーンに出たりして、客席が楽しさに沸きます。
13.The Heat Goes On(「A])

Carl Palmer Drum Solo 楽しいの一言!

14.Only Time Will Tell(「詠」)
15.Sole Survivor(「詠」)

<Encore>休む間もなく、あっさり登場。観客が中年のライブはこうでなくっちゃ(笑)

1.Ride Easy (ライブでやっていた曲のようですが、私は初めて聞きました)
2.Heat Of The Moment(「詠」) 二階席も、ここで総立ち(ここまでは座ってた(^^;;;))!ウエットンが客席にリフを歌わせて、ノリノリの中エンディング。

いやー。楽しかった!!
「本当はショットバーにでもよって余韻を楽しんでから帰りたいよね・・・」なんて話しましたが、小学生の子持ち夫婦がそこまでやるとバチが当たりそうなので(笑)大人しく帰りました。

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フンデルト・ヴァッサー展

仕事帰りに日本橋三越のギャラリーへ。
「フンデルト・ヴァッサー展」。
ウィーン生まれの画家(1928-2000)です。

色彩にあふれ、波や渦、しずくなど曲線を多用した、具象と抽象の中間くらいの絵や版画。
黒が好きだったそうで、額縁の多くは黒一色です。

決して好きな絵ではないけど、何かひかれるのは、この人の描くものが「退屈」の対極にあるからかなあ。

日本の木版に魅かれたそうで、日本の木版の技術者に依頼して作った版画が何点もありました。
これらの版画は、フンデルト・ヴァッサー(本名ではなく、ドイツ語で「百の水」の意味)の意図で、
依頼した日本人彫師・刷師の名前や日本語のタイトル、色見本などが画面に一緒に刷り込まれています。
本人の手だけによる余白のない他の絵と違い、余白が新鮮で、色見本や漢字のタイトルもそのままデザインとして絵に溶け込み、クロスカルチャーの魅力がありました。「百水」というハンコも押してあってかわいい。

出口付近で45分の記録映画を流していました。今日もかなり疲れていたので、座って休むのが目的で腰掛けていたのですが、彼の愛した水面を見ていたら、不意に展示してあった絵が素直に心に入ってきました。水面の細かい波にゆれる心象風景や自然。彼としてはすごく自然に、心の水面に写ったままを描いているんだなあ。

「私の絵は売れなかった。あげると言っても、だれももらってくれなかった。私の絵は変わりすぎていた。」というご本人のコメントは笑えました。そのうち人気がでて、描くのが追いつかなくなったと言っていましたが。
裸で水辺の近くでデッサンをしていたりと、冷静に見ると単なる変わったおじさん(笑)。
彼の側から見ると、とんでもなく孤独で、とんでもなく自由な魂を持った人。

こんな人もいるんだなあ。こんな生き方もあるんだな。
なんだか疲れがとれました。

波と渦に「インスパイア」されて(?)ペイントでお絵かき。

2
Kage

無目的、無意味なことをするのって案外癒されます(笑)。

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『アフガニスタンから世界を見る』を読む

今日読み終わった本は毎日新聞の春日孝之さんの『アフガニスタンから世界を見る』。

日本を含む西側諸国からは、バーミヤンの大仏破壊やビンラディンとの関係から『悪』というイメージしかないタリバン。
この本の前半では、アフガニスタンという「民族の十字路」の国が、大国のパワーゲームに巻き込まれた後に内戦状態になっていた中、タリバンがどんな考えのもとに生まれ、どのように全土の9割ほどまでを「制圧」していったか・・・大仏はどんな状況下で破壊されるに至ったか・・・などの話が、タリバン側からの視点で語られていて興味深いです。

結局タリバンが政権として国際社会に認められなかった背景はビンラディンとの関係。本の後半は9・11以後の状況。長くタリバンを支援していたパキスタン政府も、アメリカとの関係を優先させる形になってタリバンを見捨てます。もしビンラディンがアフガンに留まらず、穏健派がうまくタリバン政権の舵とりをしていたら・・・パキスタン政府のように、微妙な(姑息な?)舵とりをタリバンがしていたら・・・そんな可能性まで考えたくなります。

この本の視点もある意味で偏っています。でも、もし普段「善玉」「悪玉」的な物の見方をさせられるようなニュースばかりを見ているとしたら、反対側に偏った見方を入れることが、視点を「真ん中」に戻すことに役にたつわけで。

タリバンがいいとは思わない。でも、いろいろ紛争や内戦や圧政のある国を見ていると、歴史の流れは地域によって違うんだという当たり前のことを感じないではいられません。そこに「西洋・現代」的な秩序や善悪の判断を持ち込むことに違和感を感じるんです。たとえば・・・現代人が鎌倉時代に行って、平氏虐殺の罪で源頼朝を捕まえて断罪し、鎌倉幕府は悪だ!と言ってつぶしちゃうみたいな感じ。鎌倉幕府をつぶしても、一気に現代は来ないんだよ!!解決にならないんだよ!!という感じ(日本は複雑な多民族国家ではないので、上手い喩えにならないけど)。

だからって国際社会が何にもしなくていいのか。確かに。でも、何かするほど事態が悪くなることも多いような気がします。大体、介入する動機も仕方もご都合主義だし。

少し前の読売新聞に、パキスタンがアフガン難民のキャンプを閉鎖するという北川学さんの記事が載っていました。難民のキャンプが、タリバ(-)ンの「聖域」になっているというのが閉鎖の理由で、しかしキャンプを追われる人達は帰る場所もないし、治安の悪いアフガニスタンに帰りたいという気もなくて困っている。キャンプを閉鎖すれば、むしろテロリストは拡散するという意見もある。というレポートでした。この記事をきっかけにして、『アフガニスタンから世界を見る』を手にとったのですが。

現在、アフガニスタンも、イラクも、治安がひどく悪い状態。タリバンのアフガニスタンがいいとは言わないけど、フセインのイラクがいいとは言わないけど、「正義」が「悪」をやっつけて安定させようとした(?)結果がこの状態。まあもともと、「悪」の武器をたどっていくと「正義」の方から流れてたりするわけで。

同時多発テロで国家威信を傷つけられた米国。しかし「パキスタンやアフガンから見ると、米国は軍事的な世界戦略という面で、計り知れないメリットを受けたとの印象がある(p148)。」と、『アフガニスタンから世界を見る』の本文にあります。パキスタンに軍事プレゼンスを確保することは、中国へのけん制にもなるというのです。なるほどなあ。もちろんこの見方だって偏ってるのは百も承知ですが、なるほどなあ。たしかに「テロの対策」というのが魔法カードみたいになっている。

*****

この本はすごく面白いのですが、読みやすくはない印象がありました。元の知識が足りないとか忙しいとかのせいもありますが、厚い本でも難しくもないのに一週間くらい持っていました。話が行ったり来たり重複する印象があったり、本人が取材したものとそうでない聞き書きの部分がちょっとぼかすように書いてあったり。せめて年表がついていたらもっと読みやすいのに。

・・・って、これだけ話にまとまりがない私に言われたくないだろうなあ(笑)。

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