« 暑さに?車のバッテリーあがる。 | トップページ | 『ゲド戦記』4巻まで読了して(内容含みます)。 »

宮崎吾朗さんの『ゲド戦記』の味方です。

行ってきました~。宮崎吾朗さんの『ゲド戦記』。

テナーの物語である2巻、アレンの物語3巻を使ってまとめたというアニメ映画ですが、私が読んだのは一巻だけ(14日追記・訂正: 2巻を読了。現実世界のいろいろなことを関連づけて考えさせられる内容でした。2巻の内容はテナーのセリフ以外では、アニメに反映されていません。アニメは、3,4巻の内容からのようです。)

朝日か読売新聞で、批評家の酷評を見てから行きました。

感想は「悪くないじゃない」です。私は基本的には宮崎(駿)さんもジブリも大好きですが、ジブリ擁護で言っているのではありません。

前回の『ハウルの動く城』も原作を読まないで見に行きましたが、ストーリーが意味不明だと思いました。その「意味不明」を理解しようと原書の原作を読んで、愕然。料理で言えば、元の素材を切り刻んで、その味とは関係なく自分の好きなものを後から入れて、てんこもりのサラダにしてしまったような印象。「ハウル」の中にあるのは宮崎ワールドの中に切り刻まれてお互いに関連を失った原作の「破片」だから、あんなにわかりにくかったのか・・。と思いました。

少なくとも、今回、全体のストーリーはもっとわかりやすかったと思います。もっとも「ハウル」は期待して行ったけど、今回は「ひどいのかなあ」と思って行ったという違いは大きいかもしれません(「ハウル」の批判は6割引きくらいで読んでください)。

アニメ『ゲド戦記』を見る前に知っておくとわかりやすいと思うのは、舞台となる「アースシー」の世界では、「真の名」が重要な意味を持っていること。なぜなら、真の名を知るものは、それを思いのままに動かすこともできてしまうから。もう一つは、「ゲド」は偉大な魔法使いの「真の名」で、「ハイタカ」がゲドの通名であるということ。最後に。死者の国の扉を開いてしまうと、自分の「影」(悪の部分?)に追われ、悩まされるということ。

一巻にこれらのことが出てきます。でも、一巻を読まないで行った夫も「少なくともハウルよりはずっといいよ、ストーリーがわかるし、メッセージも伝わったし」と言っていました。

ただ、これが子供の評判の悪さを物語っていると思うのが、我が子の感想。「まあよかったけど、すごく怖かった。ハウルの方が面白かった。」確かにハウルは、よく出来た「場面」のコラージュのようなので、「場面」の面白さはありました。「面白い」と思わせるツボは、さすがに押さえてあって、笑いもありました。

それに比べると『ゲド戦記』には場面の笑いが全くない。私はそれが悪いとは思いませんが。

さて、ここからはネタバレで、「それでも今回わかりにくかったところ。」など。これから見に行く人のために反転で。

まず、アレンが父親を殺す必然性がわかりませんでした。これが、かなり致命的なマイナスポイントだと思います。ここをもうすこし詰めていたら、批評家にぼろくそに言われなくて済んだのでは。

父との言い争いの場面でもあれば、少なくとも動機はわかる。また、その最中カッとなって・・というなら、アレンの性格からしてもわかる。計画的に、冷静に刺しているようなのに動機が見えない。最後まで、何もわからない。

「死があるから、生が輝く。限られた命だから大切」といったストレートで大切なメッセージが、あの父親殺しの不可解さの中で揺らいでしまうのです。そのメッセージが登場人物のせりふとして語られているだけで、それが強く感じられるエピソードが映画の中にないので、よけいに。

あと、テルーが突然竜になったのが理解できませんでした。なんで竜なんだ?竜なのに、なんでまた人間に戻っているんだ?

こういうことは原作を読めばわかるのかな。(追記:わかりませんでした(16日記事に書きました)。)

ともあれ、宮崎吾朗さん、ジブリの皆さん、お疲れさま!

監督1作目。普通なら、駄作なら単に無視されるだけ、よく出来れば評価されるだけのところを、公開前からいろいろ雑音や批判があって大変だった(今も大変だ)と思います。

|

« 暑さに?車のバッテリーあがる。 | トップページ | 『ゲド戦記』4巻まで読了して(内容含みます)。 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

宮崎作品は見ないんですが、「ゲド戦記」はどうしようかなあって迷っています。
息子さんの作品だし(笑)

「ハリー・ポッター」も「ロード・オブ・ザ・リング」も原作を読んでから見たので、これも原作を読もうと思っていたのですが、間に合わなかった・・・

批評家のレビューっていうのは、僕の感覚とも違うことが多いので、酷評されてるなら、面白いのかも!

投稿: Husky | 2006年8月14日 (月) 12時31分

私が観に行くのを悩んでいる理由は、好きになれない3・4巻をベースにしているという点と、あの「いかにもアニメです」という絵です。でもいろいろな記事(監督のインタビューも含め)を読んでいると、それらの問題も納得ができそうな気がしてきたところです。
“よくできた「場面」のコラージュ”というぼくてきさんの「ハウル」評、面白いです。私もこまったなーと首をひねりながら映画館を後にしたクチなので、ちょっとすっとしました。

投稿: バウム | 2006年8月14日 (月) 18時15分

* Huskyさん

息子さんの作品ですが、絵はジブリそのものなので、どうかな(^^)?

原作。1巻は、なかなかアースシーの世界に入りこめず、ぐずぐず&いやいや読みました(笑)。2巻目は面白く一気に読めました。とりあえず、1巻だけでも原作を読んでみては。

* バウムさん

『ゲド戦記』っていう、清水真砂子さんの訳書タイトル自体がちょっと疑問なんですが・・。3、4巻読んでいませんが、アニメはアレンとテルー(とゲド)の物語だったし、昨日読んだ2巻もテナー(とゲド)の物語だし。『戦記』って感じではないような。

嫌いな絵だと、ちょっと難しいですね。

3,4巻が「好きになれない」感じは何が原因なんでしょう。これから読んでみますね。来週末に「熱烈ゲドファン」に会えると思うので、彼女にも改めて聞いてみよう。

投稿: ぼくてき | 2006年8月14日 (月) 22時47分

いまさらのコメントですいません。
『ゲド戦記』をDVDで見てみました。

原作を4巻まで読んでから見た者の感想としては、「ちょっと、ひどいなあ・・・」というのが正直なところでした。

「真の名前」のほか、この世界での魔法使い(ほうきで空を飛んだりせず、真の名を知ることで自然現象を操る)など、独特なアースシーの世界観がほとんど無視されているように感じました。

生と死、死があることによる生の素晴らしさ、などがテーマならば、ゲド戦記を題材にせずとも良かったのでは、とも思いました。

ぼくてきさんも書いてられるとおり、アレンが父を殺す理由がよくわからないですし、突然、アレンの影が登場するのも唐突すぎて、違和感ありました。

原作読んでいないうちの奥さんも「全然、意味わからん・・・」と言ってました。

長々とスイマセン・・・原作どおりでないのは、承知していましたが、いい味付けがされているのでは、という期待もあったんですけど。
(一応、宮崎駿嫌いを公言していますが、ジブリ映画は面白いとは思っているので、今回の酷評は、ジブリ映画だからという理由ではありません。)

投稿: Husky | 2009年1月12日 (月) 09時44分

Huskyさん。

>原作を4巻まで読んでから見た者の感想としては、
>「ちょっと、ひどいなあ・・・」というのが
>正直なところでした。

期待させてしまってごめんなさい。
残念ながら、そうなんですよね・・・。これの次のエントリーに書いたように、私も4巻まで読んだあと、あの意味不明な部分が全く原作に関係なかったのがわかり「味方」でなくなってしまいましたが・・・。

>生と死、死があることによる生の素晴らしさ、
>などがテーマならば、
>ゲド戦記を題材にせずとも良かったのでは、
>とも思いました。

そうですね。駿さんの『ハウル』の時もそう思いました。こんな風に変えるなら、原作の名前をつけて欲しくないなあ・・・と。

『ゲド』は吾朗さんの作品なのでちょっと話が変わりますが、宮崎アニメでもとても素敵だと思ったのは本当は『ルパン三世カリオストロの城』『ナウシカ』『トトロ』『魔女の宅急便』くらいまでかも・・・。『ポニョ』もちゃんと劇場で見たんですが「宮崎さん好きを公言しているので」悪口は言いたくないので何も書きません(苦笑)。

ジブリ作品と括っていいのかわからないけど、海外で認められ、名声が確立した後の作品からは、映像の完成度と様式美は感じても「魂」を感じない・・・という点で、黒澤明さんを思い出してしまうことがあります(あー言っちゃった(ーー;))。

投稿: ぼくてき | 2009年1月13日 (火) 21時42分

ぼくてきさん

いえいえ期待していたわけではないので、失望感はありませんでしたよ。

カリオストロの城は、名作ですね。

絵もきれいだし、観ていて爽快感があるというか、ルパンならではのドタバタ劇の中にも清潔感が感じられました。
(難しいことは抜きにして、子供心に、銭形警部の「あなたの心を盗みました。」というあの名セリフに、完全にやられた~、って感じなんですが。)

黒沢監督の映画は、晩年のものはほとんど観てないので、よく知りませんけど、魂が感じられないんですか。黒沢監督だと『生きる』は、何度も何度も見たすごい好きな作品です。

すいません、こちらも脱線してしまいました。

投稿: Husky | 2009年1月13日 (火) 22時57分

『生きる』は本当にいいですよね。私もとても感動した映画です。でも実は社会人になってからアメリカ人に(!)「ものすごくいいから『生きる』だけはみるべきだ」と勧められて、その人が持っていた英語字幕付きのビデオを借りて見たんですが(笑)。

 晩年の作品?に近いものでは『影武者』『乱』を(黒澤の昔の映画を知らないまま)封切り当時に映画館で見ました。詳しい内容は忘れたけれど「ガイジンは豪華絢爛な映像で騙せても、日本人には(スカスカな内容なのは)わかっちゃうよ」くらいに思った(失望した)ことを覚えていて・・・。

『カリオストロ』を見た当時は、宮崎駿さんが誰かも、その作品だなんてことも知りませんでした。見て、ただ、すごいなって。笑わせてジンとさせてスピード感もあって(その上どこか気品もあって)エンターティメントの‘映画’として完成されてるなあ、「日本映画もアニメならこんな面白い作品が作れるんだ!」って感心したものでした。

投稿: ぼくてき | 2009年1月13日 (火) 23時42分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/131466/11409653

この記事へのトラックバック一覧です: 宮崎吾朗さんの『ゲド戦記』の味方です。:

« 暑さに?車のバッテリーあがる。 | トップページ | 『ゲド戦記』4巻まで読了して(内容含みます)。 »