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To kill a mockingbird (アラバマ物語)の作者は誰か

( 『アラバマ物語』を読んだ話の続きです)

ディルDill、つまりカポーティについての記述は、伝記などで読むカポーティそのものです。全て本当にカポーティの姿であったかどうかはともかくとして。つくり話のうまさ、人の惹きつけ方、など。

14章で、スカウトに赤ちゃんについての作り話を語って聞かせる場面。

Dill was off again. Beautiful things floated around in his dreamy head. He could read two books to my one, but he preferred the magic of his own inventions. He could add and subtract faster than lightning ,but  he preffered his own twilight world, (後略)

さて、映画を見て感じた「カポーティ的な余韻」ですが、原作でも同じ終わり方をしていました。回想から入って、余韻を残して・・・まるで尻切れトンボのように終わってしまう原作の、まさにカポーティ的構成。

カポーティの「冷血In Cold Blood」で取材された事件が起こったのが1959年11月。その後、ハーパー・リーが取材に同行。To kill a mockingbirdの出版が1960年7月。

GOOGLEで「Harper Lee Capote rumor」と入れて検索してみました。

21100件ヒット。「実際はカポーティが、アラバマ物語のゴーストライターではないか。」というのは、やはり古くからある疑惑のようです。それが映画「Capote」が話題になったことで再燃、新たにいろいろな話が出てきたらしいことがわかりました。

Harper Lee がこの作品を書いた後、一作も書いておらず、現在に至るまですべての取材を拒否していること(80歳の今, お姉さんの Alice(95)とともに、モンロービルで暮らしているそう)。モンロービルという小さな町から、同時期に二人の有名作家が出ることの不自然さ。カポーティ自身が熱心には否定しなかったこと、などが噂をつくっていたようです。

NPR(National Public Radio)のサイトには、Auburn大学を退官した教授 Wayne Flyntのインタビューがあり(2006年3月3日)、新しく公開されたカポーティの手紙が噂に決着をつけるだろうと言っています。大体、Capoteの性格からしても、自分が書いたものがピューリツァー賞をとったなら言いふらさずにいられないだろうし。と。確かに。

手紙というのは、Capoteが1959年7月9日、メアリーアイダMary Ida Carter宛てに書いた2ページの手紙。内容は、58年(last winterには会っておらず、The previous yearその前の年会ったというから57年か58年)に「ハ-パーが書いた分だけ見せてもらった as much of the book as she’d written,」「とても気に入った。彼女はホント才能がある I liked it very much. She has real talent.」という記述があるのだそうです。

これは、二人の友達でカポーティのいとこのジェニングスJennings Carterが所有していたのをモンロービルの博物館に寄贈したものだそうで、それも映画の公開がきっかけだったそう。今年になってからのことのようでした。

この手紙の存在、また文体がカポーティの文体とは違うこと(もっとも、カポーティならその気になれば文体くらい変えられるだろうが)などから、やはり本当にハーパー・リーが書いたのだろうという論が現在は優勢になっているようです。

なるほど。それでも、構成のアドバイスはした可能性があるなあ・・・と思う私。

9月30日の「カポーティ Capote」の映画公開がちょっとだけ近づいてきました。楽しみです。それまでに、フリップ・シーモア・ホフマン主演のMI:3(え?主演、違いました?)を見なくちゃ。あれ、また「娯楽大作映画」だ。

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コメント

ええ、主演です、主演ですとも!…それだけ言うためにノコノコ出てきたバウムです。
ぼくてきさんから以前「アラバマ物語のあの少年はカポーティがモデル」ということを教えていただいた時、単純な私は「幼馴染同士が著名な小説家になっちゃうなんてことあるんだあ」と感心したのですが…やっぱりそんな噂が出るくらいちょっと不自然なことなんですね。映画でしか知らないないワタシも、とても興味深く読ませていただきました。カポーティ関係の本をガッチリ読まれているぼくてきさんだからこそ、こういう洞察ができるんだなあ。

投稿: バウム | 2006年7月11日 (火) 02時57分

いえ、ガッチリなんてとても。
「その1」で書いたように、プリンプトンさんのインタビュー構成の伝記でも出てくる話です。
映画の影響で、英語サイトのBBSでも一般の人が議論をかわしたりしてました。
MI:3、友達と明日見る約束してます。楽しみです!(ココログさんのメンテで記事はアップ出来ないけどね(T T)。ココログ重くてもうイヤです。本当に改善するといいけど。)

投稿: ぼくてき | 2006年7月11日 (火) 12時34分

こんにちは、yumemiです。お邪魔します。
先日ぼくてきさんに教えて頂いたジョージ・プリンプトンの書いたカポーティの伝記、今月末に新潮文庫から文庫で出るようですね。合わせてカポーティの『かなえられた祈り』も文庫で出るので、発売がとても楽しみです。

投稿: yumemi | 2006年7月19日 (水) 22時30分

そうですか。それなら持ち歩いて読めますね(笑)。情報ありがとうございます。
プリンプトンさんの本には、上記のJennings Carterさんのインタビューもあったので「あ、彼が手紙を出したのか」という感じでした。でもこの本の文庫版はちょっと寂しいかな(写真が小さくなったり減ったりしそうなので)。

「叶えられた祈り」も、伝記を読んでから読むと別の味わいがあるかもしれませんね(本来の文学の味わい方とは違ってしまいますが)。

投稿: ぼくてき | 2006年7月19日 (水) 23時22分

ぼくてきさん、お返事ありがとうございます。
また、こちらのブログにもお越し頂き、ありがとうございます。
プリンプトンさんの本は、文庫だと上下巻になるようです。写真がどうなるかは現時点では分かりませんが、読むのが楽しみです。
映画『カポーティ』も、フィリップ・シーモア・ホフマンが、カポーティ本人に瓜二つの演技を見せたと評判なので、アカデミー賞の頃から楽しみにしていました。ぜひ映画館に見に行きたいと思っています。

投稿: yumemi | 2006年7月21日 (金) 23時26分

yumemiさんは本当に読書量が多いですね。ブログ、面白い本の参考になります。ありがとうございます。

『カポーティ』『トルーマン・カポーティ』に限らず、英語圏の現代人の伝記は、一般的に力のある人が書いてるなあーと思うことが多いです。
有名人の自伝にしても(ライターが他にいるにせよ)日本のよりも内容がずっと濃いし、厚いし。
そういう伝記が好んで読まれている背景があるんでしょうね。

投稿: ぼくてき | 2006年7月23日 (日) 02時26分

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