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映画「カポーティ」の原作本など

映画「カポーティ」が来るのが、カポーティ本人の誕生日にあわせて9月30日とのことで、「予習」が続いています。

実は純文学にそれほど関心が高くないので、今回はフィリップ・シーモア・ホフマンへの関心が高じてカポーティの作品を読んだりしているわけですが・・。

私にとって、より面白いのはうまく描かれた事実。そこで映画の原作本(カポーティ公認の伝記)などにあたってみました。

CAPGerald   こちらが、映画の元本となっているジェラルド・クラークの「カポーティ」(中野圭二訳、文藝春秋)。これも「冷血」並みに長く、税込み6300円もする!

冷血を読んで、カポーティを内面的にも外交的にも孤独な(アレックス・シアラーの「スノードーム」に出てくるエックマンさんのような)芸術家だと決め付けていたのですが、事実はずいぶん違いました。

確かに内面的には常に満たされない思いを抱えていたようですが、対外的には魅力的で、社交的な人柄。ある「事件」までは社交界でも屈指のプリンスのような存在だったようです。かなり意外でした。

彼の作品の多くに登場する舞台や人物の原形に囲まれた幼少年時代と、実母との軋轢をかかえながらも、作家として華のある人生をおくり、そこから転落して人生を終えるまでが書かれています。「冷血」と同じくらい面白いですが、冷血以上に読むのに時間がかかりました。

時間がかかる理由の一つは、登場人物の多さ。本自体が相当長い上に「あれ?これ誰だっけ?」と、ページを戻ることを繰り返してしまいました。現代アメリカ文学や文化に詳しい人ならもう少し楽に読めるのかもしれませんが。

CAPOochi ジェラルド・クラークさんの本を覗いてみて、長さと人の数にうんざりした人にお勧めなのは越智博美さんの「カポーティ」(勉誠出版)。

05年の12月に出たばかりの本ですが、基本的にはクラークさんのオフィシャル伝記を丁寧にダイジェストしたような感じです。奇をてらわず、きちんとまとめてあります。あっさり読めます。

クラークさんのを読んだ方には読む意味はないかもしれませんが、私は頭の整理になってよかったです。主要作品も資料も紹介してあります。ただしこの本は、カポーティ自身の写真しかないので「登場人物」をイメージしにくいです。

CAPGeorgeそこで 最後に紹介したいのはジョージ・プリンプトンの「トルーマン・カポーティ」(野中邦子訳、新潮社)。

これはまだあまり読んでないのに、紹介はできます(笑)。めくっただけで特徴がわかる本なので。

この本は、年代ごとに、その当時のカポーティとそばにいた人のインタビユーを書き写す形式でまとめています。この作者はこういう手法が上手いらしい。48章の章の扉それぞれに写真と写真の解説があり(最後はないが)、イメージ作りの助けになります(私は先に読んでしまいました)。

写真はその他にもかなり沢山あります。クラークや越智さんの「カポーティ」を読みながら、この本をそばに置いていれば「カポーティの人生における登場人物の多さ」を整理するのにかなり有用。クラーク、プリンプトンはどちらも厚い本なので二冊は持ち歩けませんけど。インタビューは、部分的にはクラークの本と併せる形で読みました。

さて、いろいろ読んで、カポーティの印象はだいぶかわりました。「アラバマ物語」の原作者ハーパー・リーと、本当の幼馴染で「冷血」の取材も一緒におこなっていること、また「アラバマ物語」にでてくる、近所の女の子のような男の子がカポーティだったことなども初耳でした。このまえNHKのBSで放送していたのに、見ればよかったな。

日本に来て三島由紀夫と会っていること、三島がカポーティの早い死を「予言」していたことなど、三島自身の内面とも併せて二人の会見で話されたことをもっと知りたい気持ちにもなり、「カポーティ」がらみでの興味は尽きません。

・・・こんなに「予習」しちゃうと、かえって映画を楽しめなかったりして。もう、日本の公開遅すぎますよ!

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コメント

 『アラバマ物語』でしょっちゅう(夏の間だけだったかな?)アティカスの家に入り浸っているあの子が,カポーティだったんですね…知らなかった。こういう情報,大歓迎です。ありがとうございます。
 ぼくてきさんのレビューを読んでいて,プリンプトン作のものを読んでみたくなりました。写真いっぱいってのが魅力。でももしかしたら,映画を観た後のほうがいいですかね?いやもちろん,私の場合「冷血」を読みってからの話ですが(笑)

投稿: バウム | 2006年2月26日 (日) 21時16分

プリンプトンさんの本83ページに、カポーティがジャンプしてふざけた顔をしている写真があるんですが、それが一番PSHに似ているので本屋でチェックしてね!私も中身はこれから読みます(爆)
(文中「カポーティ本人」のところでリンクしているサイトの「Music for chameleons / カメレオンのための音楽(1980)」の表紙になっている写真なんですが画面ではよくわからないです)。
子供~青年のころは「自他共に認める美少年」だったそうです。ご本人が生きていたら「シーモアホフマンが私??ジュード・ロウか、せめてディカプリオだ!」なんて言いそう・・。(あ、でも最近のディカプリオならありか?)

投稿: ぼくてき | 2006年2月27日 (月) 21時11分

ぼくてきさん自身がカポーティの本をかけそうなくらい詳しくなっていますね。

僕も「冷血」を読もうかなっと、ブックオフで探してます。(すんません、せこくて・・・)

投稿: Husky | 2006年2月28日 (火) 08時25分

クラークの「カポーティ」は、ある意味1940年代半ばから70年代までの名士列伝のようでもあるので、いまだに頭がカオスの状態です(笑)

これから、プリンプトンの本で「復習」して・・作品をもう少し読んで・・たぶん映画が来る頃にはちょうどいい具合に忘れる予定(笑)。

Huskyさんには伝記の方も面白いかもしれませんよ。

投稿: ぼくてき | 2006年2月28日 (火) 21時10分

どうも、コメントありがとうございました。ハーパー・リーは、映画の中では、重要な脇役になっています。ハーパー・リーを演じたキャスリーン・キーナーも、オスカーで助演女優賞にノミネートされていますよ。彼女は、「マルコビッチの穴」に出てきた、あの女優さんです。オスカーでは、ぜひ彼女にも頑張ってほしいです。

ところで、都立高出身の僕としては、吉祥寺と聞くと、ひじょーに懐かしいです。もう数年行ってないかも。

投稿: tazuma | 2006年3月 1日 (水) 05時49分

tazumaさん
キャサリン・キーナーという名前と、ホフマンの隣の写真では全然気がつきませんでした。「マルコビッチの穴」のすごいセクシーさを見事に消してますね。ありがとうございます、楽しみがふえました。

授賞式5日に見られていいですねー。日本は6日昼(月)wowowやスタチャン加入してないのですぐには見られませんが(:;)

吉祥寺は案外変わってないですよ。
あ、でも「いせや総本店」5月にビルになっちゃうそうです(公園店は、あのままらしい)。吉祥寺がなつかしい都立高・・3割くらい同窓の可能性あるかも(^^;)

投稿: ぼくてき | 2006年3月 1日 (水) 22時23分

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