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心に残るN先生

それは、まるで人気のない授業だった。

高校2年の時の倫理社会。

先生は、担任のN先生。

nh N先生は、とっても生真面目な方で

それなのに面白くしようとして

「ピンクレディーが、ほら、

こんなふうに踊ってましたよね」

なんて、振り付けして見せたりして

それがまた、上品な先生に似合わず、

痛々しいくらい受けなかった。

馬鹿にして、鼻をならす生徒までいた。

高校生は疲れる。

クラブや、勉強や、

自分自身の存在の重さで。

だから、その授業を「休養」時間にして

寝てる子も珍しくはなかった。

私も、その一人だった。

先生はおっしゃっていた。

「倫理社会に、今は興味を持てないかもしれません。

でも、昔の人達が考えたこと、悩んだことが、

不思議なくらい,自分の問題として

感じられ、助けられることもあるんです。

だから、今わからなくてもいい、

その時、思い出して、また勉強してほしいと

思っているんです。」

そして、いつも、

聞いてる人がちょっとしかいなくても

一生懸命説明し、

倫理社会の面白さを伝えようとしていた。

2年の終わりの進学相談の時、

300人もいる学年で

下から20番目だか30番目だかの私の模擬試験の成績を開き、

第一志望校の「合格の可能性 7パーセント」

という数字を前に、N先生はおっしゃった。

「ボクテキさん、いままで勉強していなかったんでしょう?

でも、部活、本当に毎日一生懸命やってましたよね。

文化祭も、全力でやってましたよね。

その力と集中力を受験に使いなさい、

あなたなら、できるでしょう!」

こんな言葉、ただの無責任だ!

そう言う先生もいるかもしれない。

でも、「先生」が一番しなくちゃいけないことは、

生徒の可能性をつぶさないことなんじゃないだろうか。

そして、

教科を勉強する意味を教えることなんじゃないだろうか。

私は先生が、私の力を信じてくれたのが

嬉しくて、それからすっごく勉強した。

高3の夏、まぐれもあったけど

学年の模試で五教科が上から10番以内になった時

下校中お会いした先生は、すごく嬉しそうに

「がんばりましたね!」って言ってくれた。

それがうれしくて、また勉強した。

勉強すればするほど、どの教科も面白く感じることを知った。

2次試験の論述の社会には倫社を選んだ。

それで、現役で第一志望に合格できた。

小、中、高、大学と

教えるのが上手な先生、

面白くて人気のある先生は他にも

大勢いらした。

でも、「教える」仕事の「はしっこ」のほうに身をおいている私が、

教えながら いつも追いかけているのは

決して人気があったとはいえない

このN先生の背中なんだ。

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